炭酸ガスアーク溶接の一元、適正な電圧は機械が知ってる

CO2/炭酸ガスアーク溶接に限って電圧の調整がある

なのですが、電圧はアーク長の設定です。アーク長が長いと広いビードになる。

調整方法。アークを出さなくても適正電圧がわかります。ダイヘン、パナソニックの順で見て下さい。ダイヘン版で電圧の調整方法があります。

「一元」という設定で、電流を決めれば適正な電圧を機械が調整する。半自動溶接/炭酸ガスアーク溶接/CO2溶接の話です。機械に「一元」の設定があれば電圧と電流の関係式なんか覚える必要はありません。

「一元」は、適正な(150A程度で10mmから15mm程度)突き出し長さが一定にできる必要がありますが、安定したアークを出すために電圧の調整する能力があれば一元では無く個別でいい。今の炭酸ガスアーク溶接機の電圧の下限ってあっても平気で調整するんで一元じゃなくても個別にして調整下手くそでも何とかなる時代。

でも、ぜひ「一元」で電圧を●(中心)の位置に置いて電流と電圧を見て下さい。このときアークを出す必要なし

機械によるとダイヘンは150Aで22V、パナは150Aで19.2Vなので150Aで20Aって覚えておけば200Aだと22Vかなって100Aで18Vって予想できる。

パナソニック200Aは22.2V、ダイヘン200Aは25Vなのでダイヘンは電圧高目ですね。

で、

機械によって一元での適切な電圧がこんなに違うんだから計算式ってどうでもいいかも。

さて、

電圧調整は、「玉ができたら電圧を下げる」「ワイヤが母材に当たる感じなら電圧を上げる」。最近のデジタル機は、「玉」は認識できるが、「ワイヤが母材に当たる」が微妙。つまり、機械が勝手に電流を上げたり、電圧を下げたりして「いい感じ」を演出してしまう。だから、電圧を下げる方はよーく感じましょう。「一元」の設定だから勝手に機械が電流や電圧を調整するってことでは無く、「個別」でも勝手に機械が調整しますね。ああ、昔の機械はわかりやすかったし、「調整してる。機械は素直、いい子」って感じがあった。これって、安全のためにブレーキしないとセルが回らない。エンジンがかからない。昔は、セルボタンを押せばいつでもセルモーターを回せたなー。ブレーキしないとエンジンスタートできないと知った時「バカにすなー」って言いたい感じと同じ。

こっちでは計算式で紹介してます。

100Hz以上のパルスと脈拍パルス

音としては、

100Hz以上だと「ビー」です。数えられません。

100Hz以上で使うのですが、大抵の機械は300Hzとか500Hzくらいが最高です。通常、最高に設定します。100Hzは効果が感じられるのが100だったとうことです。デジタルの場合はボタンを押して変更するタイプなので1.5Hz⇔500Hzの変更が面倒なので100Hzを超える程度の130あたりを使ってます。下図のアナログなら500Hzにします。

電流は下が最低(4Aぐらいが最低かな?機械による)と上が、通常の電流の倍に設定する。上とか下とか書いてるが、溶接機ではパルス電流、溶接電流の設定になる。どっちかを上にしたらもう片方が下の電流です。どっちでもいい。どうせ切り替わるのだから。

具体的に普段70Aでしているなら上を140Aにする。通常、半分4A、半分140Aと切り替わるので平均すると70(正確には4+140=144。144/2=72A)。

拍子がとれるくらい。つまり、数えられるくらいのテンポはアナログのTIG溶接機では低速(下図赤い枠)としてが書いてある。次図は、ダイヘンのアナログメータのTIGです。

低速は0-20Hz、高速は20-500Hzの設定ができる。アナログはツマミを回せば簡単に周波数を設定できる。デジタルよりスピーディ。滅多にいじるとこじゃないので影響ないかな。

脈拍パルスって勝手名付けたのは1.3Hzです。脈拍は、だいたいの人が80回/分。秒に直すと80/60秒=1.333333。ビートの効いた?感じはもうちょっとアップテンポ2Hzとか3Hzかもしれません。

手をたたきながら「タンタンタン・・・・・」は1.5Hzくらいでしょうか。

脈拍パルスの電流の設定では、最低(4A程度)は使わない。100Hz以上の時のように最低(4A程度)でアークは切れないが、0.3秒とか4Aでアークは発生しないだろう。だからアークが切れる。アークスタート、終了の繰り返しのようになるのでクレーター処理ができる程度に上げておく。低い方は上の1/3くらいにする。熱の変化が大きすぎるのも良くないだろう。例えば上80A、下70Aだとパルスしなくてもいいわ。

活用点は、100Hz以上が使える。うるさいが。

100Hz以上は、2つの効果がある。アークの集中とプールを叩く効果だ。アークの集中は、隅肉をやるとよくわかる。溶けやすいし、叩くのでプールが流れやすい。早く作業ができるというわけ。

脈拍パルスの方は、プールが大きくなったり小さくなったりする。これを利用して板厚の違う溶接が簡単にできる。もともと、プールが大きくなったり小さくなるのでプールの大きさが意識しやすい。これを利用して、板厚の厚い方にビードの中心を置き、プールが広くなった時に板厚の薄い方が溶ける程度で移動する。例えば、板厚3mmと1mmの溶接だとして70Aと30Aにする。3mm同士の突き合わせで70A、1mm同士で30Aという感じです。やりやすさとスピードによって電流を変えます。

ティグ/TIG立向きパイプなど TN-V

どんどん溶接動画増えてますね。内容もすばらしい。

RF0でRG3.2と大きいわ。RF/ルート面、RGルートギャップ隙間のこと。

この動画はわかりやすい。2:20くらいから

RFなしじゃないかな。目で見ても1mm程度のRFはわからん。RG3.2、棒2.0、70A

パイプ ルート間隔3.2

立向きメルトラン

ティグ/TIG溶接棒の送り方リンク集ついでに私も

Googleするといろいろあります。「TIG 溶接棒 送り」。

棒の送りじゃないけど、このアニメーション?すごいわ。現実はこんなにクッキリ見えないが、脳内処理でアニメーションのように見える人はいるんだろうなー。

こちら、オススメです。m(__)m

溶接の動画もいっぱいです。普段使っている溶接棒より太いですが、割り箸は素手になじんで練習になります。家では割り箸で練習。ラーメンを食べながらとか、利き手で何かしながら練習する。溶接でも片方はトーチを持ちますからね。

コベルコさんの送り方。これも箸を使ってるのがいい。私は割り箸が好き。滑りにくいのでね。ここで①②③種類のまとめの所(1:20あたり)。

練習するのは、①と③で、②は練習しなくてもできると思う。

私は、さらに③の持ち方で①のように親指で送ることもする。これと①を使うことが多い。

送りは、親指だが、指先で送るのもあるが、親指の付け根というか親指の根本をグニュグニュ動かして送るとか、親指の根本で挟んで人差し指と中指で挟んで送る。手袋だと親指の先が使いにくいから、親指の根本は使える。

中指と薬指で挟む方法もある。

言葉で書くと

親指は、送りに使う。親指の根本指先で送る。親指の根本のはさみ方は棒を曲げるように挟む。

人差し指と中指、または、中指と薬指で棒を挟む。

人差し指と中指、中指と薬指で2種類となる。

練習はこの2つだけでいいと思う。送りは、親指だけじゃなくて人差し指と中指も使うことがあります。これ送りが多くていい。鉄の溶接では使えます。

練習しなくていい?やり方の方は、中指、薬指、小指の三本を適当にかませる。動画では中指が遊んでますが。教科書的には中指と小指はセットで棒の反対側に薬指をもってきて挟む。薬指が外側でも内側でもどっちでもいいじゃないかな。適当です。

動画YouTubeで「TIG welding filler rod feeding」で検索すると海外勢の情報。

食事の時は両手を使いましょう。TIGでは両手を使いますから普段から鍛える方法。一般的に日本だけ両手を使うのが行儀がいい(セクシィのサイト)。ローリングの練習で溶接棒を入れるとメチャクチャになるって話も以前書いたな。

追記、

棒の送り方はわかっても練習しないとね。特訓課題を考えた。常に棒をプールに入れて送れる練習課題。

溶接工はプールを見る 遮光番号

基本プールしか見ない。プールの形とプールは広がるのでその中のどこを狙うかも大切。

TIGはプール(溶融池)を見る、プールの形を知るのに最適だわ。

プールが小さい時のプールの盛り上がり、ある程度プールが大きくなった時の周りの影(凹み)やプールの波、対流、浮遊物?なんかを見るには遮光番号があってないと疲れます。

プール(溶融池)の形がわかれば、残るビードの形もわかる。プールの上下左右を見ればどの位置にどんな大きさでビードができているかもわかる。

プールはアーク光の下にあるので上から見る場合は、アーク光の向こう側のプールを見ることになる。

プールが見やすいのはTIG溶接。次が炭酸ガスアーク溶接。被覆アーク溶接はフラックスが多すぎ、フラックスがプールの上にのってプールの形なのかスラグ(フラックスが溶けたやつ)の形なのかわかりにく、低水素系LB-47などスラグが硬いとプールとスラグの区切りが見えるがイルミナイトB-14はスラグ水みたいによく流れるのでわかりにくい。

プールとアーク光が区別できない状態では溶接はうまくならない。あたりまえ。

まぶしい順

  1. アーク光     白色に見える
  2. プール(溶融池) オレンジ色に見える

アーク光とプールの区別ができてますか?

光るのは、この2つ。1つじゃなくて2つです。

母材は、アーク光で強く照らされた範囲が見えればいい。それと、プールの周りの母材もプールの溶け具合で見える。プールで2つの材料が溶け合っている所やプールの端が見えればいい。

母材は基本的に見る必要なし。母材の形など見えなくていい。見えたらいけん。

母材の全体がよく見えるはおかしい。きっと、眩しくてプールとアークの区別もできてないはず。

目は紫外線赤外線にやられます。だんだん下手くそになるのはアーク光で目が焼けて見えなくなるため。若い人は目の瞳孔の調節もよくできるので初めのうちは何とか見えるがだんだん疲れて見えなくなる。「午後になると下手になる」ってやつ。長いビードをひく場合にスタートと終了時でも見え方に差があることがある。JIS検定試験ではTIGや手棒はビードの長さが150mm、炭酸ガスアーク溶接では200mm。この長さで最初はいいが、後半だめという方。遮光番号を上げましょう。また、後半がだめという方は目の位置が動いていないかも、スタートでは電極の先が見えるが、頭の位置が同じだと後半はノズルで電極の先が見えなくなるでしょう。

アーク光は見る必要無し。邪魔でもある。特にアーク光の向こう側のプールを見るのは太陽の近くを飛ぶ飛行機を探すのに近い。このイラストは現実とは違う。イラストではどちの飛行機もクッキリ見えてる。

現実は、赤い飛行機は、太陽を手で隠せば何とか見えるが、青い飛行機は濃いサングラスでも見えない。遮光番号13はいる

溶接でもアーク光の向こう側を見るには遮光番号を13以上にしないと見えないとと思う。私は、20代の時13番を使っていた。

見にくいのは2種類ある。

  1. 暗くて見えない
  2. 明るすぎて見えない。眩しい。

溶接の場合は、2の方が多いのでは?。だから、遮光番号を上げるのです。溶接で遮光番号9だとプールすら眩しい(100A)、アーク光はさらに眩しく、肝心のプールとその周りも見にくくする。若い人は遮光番号11や12でもいいと思う。私は10か11かな。数値が高い方が目に優しいからなるべく上げましょう。

JIS T8141では基本的に100Aより下が遮光番号10、100Aあたりから遮光番号11。200Aだと12でしょう。CO2/TIGは、ガスシールド。まぶしい。

「目が悪いから」って、近眼とは関係ありません。まぶしいさです。

プールを見るには

プールより明るいアーク光が見えるくらいの遮光番号を使うと、プールは必ず見えます。アーク光がどれか分からない人は遮光番号を12,13番くらいにするとアーク光とプールの区別ができる。プールの形が溶接の結果になります。何度やっても上手くできない方は、プールの形やプールを作っているTIGなら電極先端、炭酸ガスならワイヤの先端の位置が見えてません。遮光番号を上げてアーク光の位置を確認しましょう。

遮光番号を下げるのは、「暗くてアーク光しか見えない」場合だけ。プールが見にくい=遮光番号を下げて明るくする。って考えは無くしましょう。

こっちでは、アーク光、プール、キーホールを色として説明してる。

溶接ベテランのおじいしゃん(失礼、私もだが)が使っている溶接面を渡され「やってみ!」と言われて初めて溶接をした若者諸君。若い人は目がいいから初めは何とかみえるが、絶対に遮光番号を上げよう。おじいしゃんに悪気は無い。おじいしゃんは、通常、9番、8番なんかを使う。ベテランすぎてプールをしっかり見ないか、目の衰えで眩しくないのです。畑によく出るおばあちゃんは白内障の手術を早めにするでしょう。