被覆アークのビード継ぎ

被覆アーク溶接の溶接棒は通常350mm(検定や競技会のためなのか400や450もあるようだ)。溶接棒が無くなったら交換して、続きの溶接。ビード継ぎをすることになる。
ポイントは、以下だ。
1,アークを切るのは前腕の回転を使って素早く。クレータ(凹み)の状態で終える。
2,冷める前になるべく早く。自然な継ぎ手のために。立向きならスラグが下がっているので掃除なしの方がきれいだし、すばやいので温かい内にスタートできるためブローも入りにくい。下向きでスラグが気になっても赤いうちになら大丈夫。
3,クレータの先(これから溶接するところ)だいたい30mmくらいからアークを出して、アーク長を長めにしてクレータまで戻る。アークを出す前の時点で、クレータが赤いうちなら光を出しているので溶接棒の影のように見えるのでスタート位置がわかりやすい。
4,クレータを追い越すくらいの戻してから、スタート部分は若干ゆっくり、よく温めてやるとビードの継がなめらかになる。クレータを追い越さんないと凹みになるので、余計に戻していい。

N-2F 裏波溶接時に見るポイント

溶接スピードがポイントだ。
裏波溶接(一層目3.2mmLB-52U)で使う90A程度の電流では、芯線が溶けて母材に落ち、溶け落ちた芯線の上に盛っていく。母材にアークが飛ばない。早く進んで母材にアークを飛ばす程度のスピードがいる。

明るい所がアーク光、裏に溶融池(プール)がるが眩しくて見えん。
ポイントは、以下だ。
1,V溝に押し付ける。被覆筒をこわさん程度
2,溶接スピードは、プールが連続していて、未溶接部分のルートが明るく見える程度
未溶接部のルートが見えない場合は、早くする。スピードを早くするとは、母材にアークを飛ぶ。母材をよく溶かすことになる。

炭酸ガスアークで最終層の開先の肩が見えない

見えないとなれば遮光番号を下げる?。上げるのが正解。
炭酸ガスアーク/半自動だと被覆アークに比べて遮光番号を上げる。これは、スラグが無く比較的プールやアークが目立つためだ。

例えば、太陽を見ていてバックにあるはずの星は見えない。太陽の前を通過する飛行機も見えないはずだ。

溶接の中で最も光るものは、アーク光。
でも、アーク光を見る必要は無い。
見るべきはプールとその周辺。
ウィービングなどで動かすとアーク光の移動。
そのアーク光の近くの開先の肩。最終層だと肩といってもところどころ溶けている。
この肩は、太陽越しに見るのと同じ。遮光番号が下げていては眩しくて見えません。

眩しいアークの周辺が見えればいい。材料全体が見えないとか、どのあたりを溶接しているのか位置関係が分からないとか必要ないでしょう。

また、目の位置によってアーク光が見える大きさが変わる。一般的に高年齢者ほど遮光番号を低くしないと見えないことが多い。そうした、個人差もあるだろうが、角度や目の位置も個人差。アーク光が眩しいならノズルで見えない位置に目を動かす方法もある。これは、被覆アーク溶接でも同じだ。被覆筒の中をみるような姿勢だとアーク光で眩しくなる。

どしても見えないなら、被覆アーク溶接棒をガイド用に置いておく。

止端を狙う (溶接用語)

始端、終端はわかる。
止端。これもシタンと読む。
ここでは、ビード形状と強度の関係を説明している。
止端は、溶融金属と母材の切れ目だ
実は、この止端は、何層もビードを置いた場合は、途中にもある。
だから、二層目、三層目があると、狙いはこの止端となる。
溶込み不良は、止端にでやすい。
特に炭酸ガスアーク溶接の場合は、しっかり狙いましょう。

 

半自動の電流調節って適当でもいいか?

炭酸ガスアーク溶接の場合は、コンタクトチップから母材までが抵抗になる。
アークも抵抗だが。
突出し長さも抵抗だ。アーク長は電圧で決まるが突き出し長さはコントロールできる。
(コンタクトチップまでは、太い銅線だからほとんど抵抗は無い。)
突出し長さを変えることで溶接電流を調整できる。
電流の設定は高めにしておけば、突き出し長さを長く(見やすくなる)、電流を低くして使える。
(突き出し長さを10mm以下にすると電流は高くすることもできる。汚れるけど。)

多くの人は、突出し長さが長い=電流が下がる。
適正な突出し長さはある。100A-200A程度だと10ー15mm。300Aなるとアークの勢いにビビリ勝手に20mm以上になる。

「電流は?」って聞くと「100A」って返答。でも、デジタルな溶接機は、溶接終了時に設定電流では無く、最後の実際の電流値が見れる。100Aに設定していても多くの人は90Aくらいになっている。つまり、適正な突出し長さより長くする人が多い。だって、見やすもんね。連続にビードを引く場合は特に突出し長さが長めになる。

溶接競技会に出るような人は、『ノズルでワイヤが見えない!』ってことは無い。突出しているワイヤーが全部見えるくらいの位置に目をおき、さらに近眼で見ている。炭酸ガスアークは若者向き。

何が言いたかったかというと、新しい炭酸ガスアーク溶接機は、素晴らしい。突出し長さが適切でなくてもアークが安定するんだわ。スゲー時代。ほんとに簡単になった。昔は、ドラムを手で握って止めれるくらい送給装置が貧弱だった。炭酸ガスアークのケーブルは肩にかけてケーブルが曲がらんように溶接だ。今は、ケーブルをぐるぐる巻いていても大丈夫みたい。送給装置のローラが4個もあって強力になっているのだ。

薄板と厚板の溶接の違い

TIGの話し

板厚2mm以下の薄板の場合は、溶接時に形状が変わる
穴が空くのが典型例。
突合せ溶接の場合に、ルートの形状が変わるのが薄板。
だから、穴が空く同様にルートの間隔が溶けて広がる。
薄板は、形状が変わる前に溶接すること。
形状が変わる前に溶接するには、以下がポイント
1,低すぎる電流は形状を変えるだけ
2,アーク長は超短く。TIGなら電極が母材に付くくらい。
厚板に比べ溶接条件は狭い。

溶接が難しい=条件範囲が狭い

板厚9㎜より板厚3.2㎜の方が難しい。条件範囲とは電流。

『他にもあるだろ』って私も思うが、最も影響するのが電流ってことが言いたい。
ここでは、電流と熱量の関係を書いた。電流=熱。熱で溶かす相手の形が変わる。どの範囲を溶かすのかは以下で決まる。
1,狙う位置
2,TIG、手棒ではアーク長