切って切って上進(立向溶接)

被覆アーク溶接の話

立向溶接は電流を下げて上進するが(Φ3.2で110A、Φ4.0で130A)

アークを一旦切って横水平、また切って、横水平/ウィービングです。アークを切ることで冷やすので高い電流でも上進できる(Φ3.2で130A、Φ4.0で190Aこれは箱に書いてあるF/下向きの最高電流。この電流だと通常下進でする)。 ストレートでも上に上げて切って下ろす感じ、手首だけで。

アークを切るのは手首を使い、溶接面から見ると一時的に真っ暗だが棒の影は見える。この影を見ながら再アーク。自動遮光面は使わず。

ジッーっと動かすタイプにこのアクティブな動きを練習するといいかも。

Φ4.0で190Aイルミナイト系B-14の動画

Φ4.0で190A低水素系LB-47の動画

低水素系LB-47に比べてスラッグが流れるのでプールが大きく見えるかな?

「切って切って上進」とは私の勝手な命名。 アークスタートとストップが重なるのでJIS検定試験なんかでは使いませんが、かなり電流が高いのでよく湧いていると思う。

立向溶接で下向きの最高電流Φ4.0なら190Aで、Φ3.2なら130Aを使う。

連続の上進なら普通Φ4.0で130A、Φ3.2で110A程度で上進する。

立向溶接は下を作って上に載せえる感じだが、電流が高すぎると連続は無理。 下進なら下向きの最高電流より10~20A(箱に書いてあるO/Vの最高)ほど下げてするが、それでもスラッグの処理で棒を振り上げる。特にイルミ。これは珍しい下進の動画は昭和の終わり、バブルより10年前と思うが見たことがある動画です。音楽が昔っぽい。

だから、

最大電流を使って時たま切ることで上進する方がスピード的、やりやすさの点でも楽かと。溶け込みも有利だし。

それに、

エンジンウェルダー(直流、自動電撃防止装置もいらん)を使っている方やTIG溶接機で直流の被覆アーク溶接をする方は、再アークが気持ちよすぎなので 「切って切って上進」がいい。 目一杯、電流を高くしておけば、手元で電流調整?できるのがいい。 電流が低いとエンジンウェルダーまで行って調整せなあかんから。

エンジンウェルダーを使う現場仕事では電流を高くしておいて切って切ってアークで溶け具合を調整する。エンジンウェルダーは直流です。ということはアークスタートがスムーズで切って切ってが苦にならないわな。動画は交流アーク溶接機です。おまけに自動電撃防止装置が付いてるのでアークを切ってから1.5秒以内なら電圧が下がらないのでアークは簡単に出る。これ以上冷やす場合は1.5秒以上切った状態にする。1.5秒以上切ると自動電撃防止装置が電圧を30V以下にする(ので安全だが、アークの発生がしにくい)。しかし、電流が高いのでまあままアークは出やすい。特にイルミはね。

10年前の動画。前半のビードをおくところは切ってません。時たま上げる感じななのはスラッグを落とすため、イルミナイトB-14Φ3.2電流110A。

最終層なので最後の終端処理は「切って切って」になってます。鉄板の端っこなので溶け落ちないようにアークを切って冷やしてから盛る。

パス間温度

多層でビードを引く時にある温度以下か以上の状態で溶接を続けること。

ある温度以上の場合は、予熱をすると言う意味。

ある温度以下にするのはオーステナイト系ステンレス鋼のクロム炭化物を作らないようにクロム炭化物を作る温度600-700℃くらいを早く抜ける。SUS304は焼きが入らないので水冷でもいい。何層も引く場合は、少なくとも150℃以下。TIG用手袋で熱く無い程度に冷やしてから次のビードを引く。クロム炭化物の炭化とは炭素のこと。SUS304LのL付きは低炭素の意味なのでクロム炭化物を作りにくいので腐食によるサビもでにくい。

いぜん、焼きなましの話なのに「パス間温度」と説明してた。

ティグ/TIG交流と酸化皮膜 アルマイト処理

アルミとマグネシウムは、酸化皮膜の融点が高い。

正月の餅のように表面が固くて、中が柔らかい。溶接では、表面が溶けにくく中は溶けやすい。

アルミの融点は660℃これ中の融点。表面の酸化皮膜の融点は2072℃。中は溶けて、表面が溶けないという餅の状態になる。この状態では溶接できない。

マグネシウムの融点は650℃。表面の酸化皮膜の融点は2852℃。アルミ同様に溶接しにくい。

TIG溶接では交流にするとアルミもマグネシウムも溶接できる。交流は、電子の飛ぶ方向が、電極から母材、母材から電極へと切り替わる。TIG溶接機では最大1秒間に500回くらいは切り替えることができる。

下図。TIG溶接機は母材/アースがプラス+。トーチ/電極はマイナス極。正極性。

下図。炭酸ガスアーク溶接機は、母材/アースがマイナス。トーチがプラス。逆極性。

酸化皮膜を壊すタイミングは、電子から母材に電子が打つかる時(注意。電子はマイナス極から出ます)。らしい。溶接時のプラス、マイナスは、正極性と逆極性がある。TIGの交流なので半分は正極性で半分は逆極性、逆極性の時が酸化皮膜を壊すタイミング。正極性の時は母材が溶けやすい。

よって

アルミとマグネシウムはTIG交流にします。

逆極性のタイミングで電極が溶けやすい状態になるため電極は先を尖らない。教科書的には、アルミとなれば純タングステン電極だがセリタンで大丈夫。電極の先が溶け落ちないように尖らさない方がいいかもしれません。

真鍮(銅Cuと亜鉛Zn)も交流を使うことがあるらしい?。基本、銅は直流でするので合金、真鍮の場合は亜鉛が多いと銅より溶けにくい酸化皮膜ができるのかもしれん?。よって、真鍮は直流か交流か溶接のやりやすさで決める。

アルマイト処理したアルミ。色付きのアルミのこと。

まず、溶接できない。アルマイト処理も酸化皮膜の処理だが分厚すぎる。

アルミの酸化皮膜の厚さは0.01ミクロン(0.01μm×0.001=0.00001mm)。アルマイト処理の酸化皮膜は10ミクロン以上(0.01mm)。桁が違う。アルマイト処理の酸化皮膜はTIG交流でも壊せない。だから溶接できない。

ミクロンはマイクロメートル。1μm(マイクロメートル)=0.001mm(ミリメートル)。千分の1mm。

アークスポットで仮付スピードアップ。適正電流を調べるティグ/TIG誰でも簡単

設定方法です。知る限り古いTIG溶接機でもアークスポットはあります。

アークスポットの時間を0.1秒にして電流をメチャ高くするとメチャ効率良く仮付ができる。

炭酸ガスアーク溶接の一元、適正な電圧は機械が知ってる

CO2/炭酸ガスアーク溶接に限って電圧の調整がある

なのですが、電圧はアーク長の設定です。アーク長が長いと広いビードになる。

調整方法。アークを出さなくても適正電圧がわかります。ダイヘン、パナソニックの順で見て下さい。ダイヘン版で電圧の調整方法があります。

「一元」という設定で、電流を決めれば適正な電圧を機械が調整する。半自動溶接/炭酸ガスアーク溶接/CO2溶接の話です。機械に「一元」の設定があれば電圧と電流の関係式なんか覚える必要はありません。

「一元」は、適正な(150A程度で10mmから15mm程度)突き出し長さが一定にできる必要がありますが、安定したアークを出すために電圧の調整する能力があれば一元では無く個別でいい。今の炭酸ガスアーク溶接機の電圧の下限ってあっても平気で調整するんで一元じゃなくても個別にして調整下手くそでも何とかなる時代。

でも、ぜひ「一元」で電圧を●(中心)の位置に置いて電流と電圧を見て下さい。このときアークを出す必要なし

機械によるとダイヘンは150Aで22V、パナは150Aで19.2Vなので150Aで20Aって覚えておけば200Aだと22Vかなって100Aで18Vって予想できる。

パナソニック200Aは22.2V、ダイヘン200Aは25Vなのでダイヘンは電圧高目ですね。

で、

機械によって一元での適切な電圧がこんなに違うんだから計算式ってどうでもいいかも。

さて、

電圧調整は、「玉ができたら電圧を下げる」「ワイヤが母材に当たる感じなら電圧を上げる」。最近のデジタル機は、「玉」は認識できるが、「ワイヤが母材に当たる」が微妙。つまり、機械が勝手に電流を上げたり、電圧を下げたりして「いい感じ」を演出してしまう。だから、電圧を下げる方はよーく感じましょう。「一元」の設定だから勝手に機械が電流や電圧を調整するってことでは無く、「個別」でも勝手に機械が調整しますね。ああ、昔の機械はわかりやすかったし、「調整してる。機械は素直、いい子」って感じがあった。これって、安全のためにブレーキしないとセルが回らない。エンジンがかからない。昔は、セルボタンを押せばいつでもセルモーターを回せたなー。ブレーキしないとエンジンスタートできないと知った時「バカにすなー」って言いたい感じと同じ。

こっちでは計算式で紹介してます。

100Hz以上のパルスと脈拍パルス

音としては、

100Hz以上だと「ビー」です。数えられません。

100Hz以上で使うのですが、大抵の機械は300Hzとか500Hzくらいが最高です。通常、最高に設定します。100Hzは効果が感じられるのが100だったとうことです。デジタルの場合はボタンを押して変更するタイプなので1.5Hz⇔500Hzの変更が面倒なので100Hzを超える程度の130あたりを使ってます。下図のアナログなら500Hzにします。

電流は下が最低(4Aぐらいが最低かな?機械による)と上が、通常の電流の倍に設定する。上とか下とか書いてるが、溶接機ではパルス電流、溶接電流の設定になる。どっちかを上にしたらもう片方が下の電流です。どっちでもいい。どうせ切り替わるのだから。

具体的に普段70Aでしているなら上を140Aにする。通常、半分4A、半分140Aと切り替わるので平均すると70(正確には4+140=144。144/2=72A)。

拍子がとれるくらい。つまり、数えられるくらいのテンポはアナログのTIG溶接機では低速(下図赤い枠)としてが書いてある。次図は、ダイヘンのアナログメータのTIGです。

低速は0-20Hz、高速は20-500Hzの設定ができる。アナログはツマミを回せば簡単に周波数を設定できる。デジタルよりスピーディ。滅多にいじるとこじゃないので影響ないかな。

脈拍パルスって勝手名付けたのは1.3Hzです。脈拍は、だいたいの人が80回/分。秒に直すと80/60秒=1.333333。ビートの効いた?感じはもうちょっとアップテンポ2Hzとか3Hzかもしれません。

手をたたきながら「タンタンタン・・・・・」は1.5Hzくらいでしょうか。

脈拍パルスの電流の設定では、最低(4A程度)は使わない。100Hz以上の時のように最低(4A程度)でアークは切れないが、0.3秒とか4Aでアークは発生しないだろう。だからアークが切れる。アークスタート、終了の繰り返しのようになるのでクレーター処理ができる程度に上げておく。低い方は上の1/3くらいにする。熱の変化が大きすぎるのも良くないだろう。例えば上80A、下70Aだとパルスしなくてもいいわ。

活用点は、100Hz以上が使える。うるさいが。

100Hz以上は、2つの効果がある。アークの集中とプールを叩く効果だ。アークの集中は、隅肉をやるとよくわかる。溶けやすいし、叩くのでプールが流れやすい。早く作業ができるというわけ。

脈拍パルスの方は、プールが大きくなったり小さくなったりする。これを利用して板厚の違う溶接が簡単にできる。もともと、プールが大きくなったり小さくなるのでプールの大きさが意識しやすい。これを利用して、板厚の厚い方にビードの中心を置き、プールが広くなった時に板厚の薄い方が溶ける程度で移動する。例えば、板厚3mmと1mmの溶接だとして70Aと30Aにする。3mm同士の突き合わせで70A、1mm同士で30Aという感じです。やりやすさとスピードによって電流を変えます。

ティグ/TIG立向きパイプなど TN-V

どんどん溶接動画増えてますね。内容もすばらしい。

RF0でRG3.2と大きいわ。RF/ルート面、RGルートギャップ隙間のこと。

この動画はわかりやすい。2:20くらいから

RFなしじゃないかな。目で見ても1mm程度のRFはわからん。RG3.2、棒2.0、70A

パイプ ルート間隔3.2

立向きメルトラン

ティグ/TIG溶接棒の送り方リンク集ついでに私も

Googleするといろいろあります。「TIG 溶接棒 送り」。

棒の送りじゃないけど、このアニメーション?すごいわ。現実はこんなにクッキリ見えないが、脳内処理でアニメーションのように見える人はいるんだろうなー。

こちら、オススメです。m(__)m

溶接の動画もいっぱいです。普段使っている溶接棒より太いですが、割り箸は素手になじんで練習になります。家では割り箸で練習。ラーメンを食べながらとか、利き手で何かしながら練習する。溶接でも片方はトーチを持ちますからね。

コベルコさんの送り方。これも箸を使ってるのがいい。私は割り箸が好き。滑りにくいのでね。ここで①②③種類のまとめの所(1:20あたり)。

練習するのは、①と③で、②は練習しなくてもできると思う。

私は、さらに③の持ち方で①のように親指で送ることもする。これと①を使うことが多い。

送りは、親指だが、指先で送るのもあるが、親指の付け根というか親指の根本をグニュグニュ動かして送るとか、親指の根本で挟んで人差し指と中指で挟んで送る。手袋だと親指の先が使いにくいから、親指の根本は使える。

中指と薬指で挟む方法もある。

言葉で書くと

親指は、送りに使う。親指の根本指先で送る。親指の根本のはさみ方は棒を曲げるように挟む。

人差し指と中指、または、中指と薬指で棒を挟む。

人差し指と中指、中指と薬指で2種類となる。

練習はこの2つだけでいいと思う。送りは、親指だけじゃなくて人差し指と中指も使うことがあります。これ送りが多くていい。鉄の溶接では使えます。

練習しなくていい?やり方の方は、中指、薬指、小指の三本を適当にかませる。動画では中指が遊んでますが。教科書的には中指と小指はセットで棒の反対側に薬指をもってきて挟む。薬指が外側でも内側でもどっちでもいいじゃないかな。適当です。

動画YouTubeで「TIG welding filler rod feeding」で検索すると海外勢の情報。

食事の時は両手を使いましょう。TIGでは両手を使いますから普段から鍛える方法。一般的に日本だけ両手を使うのが行儀がいい(セクシィのサイト)。ローリングの練習で溶接棒を入れるとメチャクチャになるって話も以前書いたな。

追記、

棒の送り方はわかっても練習しないとね。特訓課題を考えた。常に棒をプールに入れて送れる練習課題。