線形解析・非線形解析と降伏強さ

弾性変形は、直線的に変化するので計算もしやすい。直線的なので線形解析。

下図は、弾性(線形の範囲)と塑性(加工、非線形の範囲)。

降伏点は、加工の範囲に入る手前の力の位置を言う。材料の特性の一つである引張強さは、くびれができた時点で、そのくびれが、割れが大きくなる前の最大の力を言う。最大の状態ですでに加工の状態。

材料が降伏する(点)までは、力を加えても外せば元に戻る。製品の設計で使うのは降伏点までの弾性変形の範囲でシミュレーションを扱うのが普通。弾性変形であって弾性加工ってことばは無い。

一方、

降伏点以上の力が加わると、加工(非線形)の解析はくびれ、力の集中があるので材料の特性だけでは解析できない。

引張試験機を使った応力-ひずみ曲線(引張試験は材料特性の基本ですからいっぱい画像があります)

製品は弾性範囲で使用するためCAE/SolidWorksも降伏強さまでの応力、ひずみの範囲内で使うことがほとんど。だから、降伏点より下の世界です。

Solidworksでは、引張り強さ/1.5の数値が降伏強さ。1/1.5=0.6666666666666667です。この1.5は、建築や橋などの溶接の許容応力度の基準として見れます。曲げ、引張は引張り強さ/1.5でせん断は引張り強さ/1.5√3です。材料の許容応力度でもJFEから降伏強さの数値を調べることができる。ここにも、1.5や√3があります。

ミーゼス応力と降伏強さを比較する

構造解析ができることが三次元CADのいいとこですが、オプションの追加で高額になるんで使われているのかどうか?。

CAEで見るのは主に2つ、フォンミーゼス(Von Mises)応力と主応力。主応力は、方向があるが、ミーゼス応力はプラスの数値(いろいろな方向の応力を自乗して足した結果を√した値)であり、方向は無い。実際の構造物内で発生しているのは、いろいろな方向の応力である。これらの引張、曲げ、せん断で発生する応力を組合せて数値化したのがミーゼス応力である。よって、材料の降伏強さとミーゼス応力の値を比較すればよいこととなる。SolidWorksのCAEの場合は、力が大きすぎると表示してくれる。下図だと矢印の上側が崩壊する。

応力の方向が必要な場合は主応力表示させる。方向が正しくか「ひずみ」も見る。主応力は方向もあるので「応力」がわかれば「ひずみ」もわかる。「ひずみ」がわかれば「応力」がわかる。「ひずみ」と「応力」の関係は、ヤング率で計算できる。ヤング係数と弾性係数など、ヤングと弾性は同じと解釈する。 CAEでは、メッシュ(立体的な三角形)を使って計算するため、理論値/手計算との差がある。メッシュザイズを細かくすると理論値/手計算に近づく。

TN-Fメルトラン(1層目)なら開先いらない!練習簡単

開先が無くても裏波は出ます。SUS304の板厚3mmならビード幅が8mmもあれば裏波が出ます。バックシールドはいる。無いと裏波じゃなくて花が咲きます。

プールの先頭にアンダーカット/凹ミができた状態で流す。プールの横側でも見やすい所で確認。プールがブルブル震えて状態を見る方がわかりやすいかも。対流というか震えてると凹んだ状態になってます。

ルートフェイス/RFは3mm。ルート間隔/RG0.5以下。どんつきでもいい。電流は75A-100A程度。アーク長が長いと穴が空きやすい。80Aくらいなら結構ゆっくり流す。ウィービングでビード表面だけを広くするのはだめ。一点集中でプールの周りが凹んだ状態で流す。アーク長が長いと穴が空くことがあるのでなるべく近づける。

流すポイントは、アンダーカットを確認してから流すこと。凹みがあるとOK。平板でプールの凹みを見る機会って少ないと思うのでゼヒ。学習してね。

さらに、2層目の練習もできる。2層目のプールは、プールの先頭のアンダーカットは禁止。2層目の裏波が出ますから。プールは水玉状で流す。でないと盛れない。

動画、平板で裏波が出ます。

開先無しも裏波が出ます。I形突き合わせです。

だから、開先付きを使ってメルトラン(あぶり出し、水島の方では「あぶりだし」と言うらしいがステンレスだけに使えるドンツキで流して裏を出す)で裏波を出す場合はルート面は0.5mm以上でもいい。つまり、尖って無ければいいです。それと、開先があるとスタート時に大穴が開くことがあるので溶接棒を準備しておく必要があります。

んん。開先無しでメルトランが一番簡単かもしれん。

ティグ/TIGビード置きの勘違い。TN-Fの2層目のビードが盛れない。母材より低い方

まず、勘違いをしていませんか?

m(_ _;;m

ビードをおくだけならしっかり母材を溶かす?。不要。表面だけ溶かす。TIGは母材の表面が溶けた上に盛るだけ。

母材の溶け込みの深さは最小でいいのです。下図の上側のイメージ◎。下図の下側のイメージは✖。

TIGはビードを置くだけなら溶け込みを気にする必要はありません。

だから、母材が溶けたらサッサと進む。

余計な熱を入れてはいけません。

TN-Fみたいに2層目をひくことはあまりないので仕方ないかもしれませんが。TIGの場合は母材が溶けた所に溶接棒を入れるので溶込み不良はありません。

TN-Fの2層目を盛るために

  1. プールの見た目は水玉状。電極はプールの中心を狙う。プールの先頭を狙わない。母材を直接狙わない。母材に熱を入れない。
  2. 電流を最低の60Aにする。これで盛れない方は相当進むのが遅いです。または、アーク長が長いためプールができにくくて進めないかもしれません。アーク長を長くしてプールを大きくする?。ってな考えせんとウィービングをして下さい。
  3. 熱を入れないように進むために必ずウィービング。ウィービングをしっかりして、1層目のビード両端をしっかり狙う。
  4. 1層目にひいたビード両端が見えない方。教科書的には100A以下遮光番号10番ですが、11番や9番を試して下さい。
  5. プールの周辺に凹みや影のようなものが見えたらプールが凹もうとしてます。裏波じゃないんだから、どんどん先に進めて下さい。

手早くやるにはウィービングも手早く

TN-Fの2層目を安定させるコツ

実際に溶接する時は、このカメラのように見える位置ではありません。

目の位置は溶接線上の最後から始端の方まで見える位置です。ウィービングの振り幅と1層目のビード幅がしっかり見える位置です。

ティグ/TIGのアークスタートは欠陥なし

この動画はTIG溶接です。前半は、プールができてないのに溶接棒を入れる。後半が正しい、プールができている/母材が溶けているのを確認してから溶接棒を入れる。炭酸ガスアーク溶接や被覆アーク溶接ではできません!

被覆アーク溶接/手溶接・半自動アーク溶接/炭酸がアーク溶接/CO2アーク溶接の場合は、母材が冷たい状態で溶接棒/ワイヤが入ってアークが出るから。欠陥になる。

一方、

TIGは母材を溶かすだけもできるし、棒を入れるタイミングも人が決めます。

ただ、動画の前半のようにプールができてないのに溶接棒をたらすようなことをすると被覆アーク溶接や炭酸ガスアーク溶接/半自動溶接と同じことになります。

動画の前半のTIG=炭酸ガスアーク溶接、被覆アーク溶接

被覆アーク溶接・炭酸ガスアーク溶接/半自動溶接でもスタートから2秒後ぐらいには母材が溶けるのでTIGと同じ状態になる。基本、母材が溶けてる状態では欠陥にならないはず。

スマット ティグ/TIG A5000系アルミの黒焦げ 

黒焦げが特にスタート時に出る方

プリフローを3秒以上にして下さい。

スタート時にしっかりシールドしてないと黒焦げができます。

ワイヤーブラシで取れますが、見た目がね。ただ、見た目だけで機械的な性質の変化があるわけでもないようです。

ついてに、

アルミでよく分かることとして、凝固点。クレータの中心にできるエクボ。

スイッチを押しながら電流を調整してビードをひくとエクボができる。

MXとかダイヘンDA300Pだと「溶接法」が「AC-DC TIG」
クリーニング幅大だと黒焦げがでないが、クリーニング幅小だと黒焦げ著しい。

dav

TN-Fの2層目のビードが太くなる方

アーク長が長いです。

裏波(1層目)より2層目が難しいという方も

アーク長が長いです。

アーク長が長いと溶かしたい所を狙うことができない。溶かしたい所以外も溶ける。

結果、

2層目のビードに時間がかかり、焼ける、歪む、盛れないから2層目の裏波がでる。

さらに、

ウィービングをしっかりしてますか?。さっさと溶かして進みましょう。溶け込みいらないから。母材より高ければいいだけ。

一度、

あえて60Aで2層目をして下さい(アーク長を短くする訓練)。アーク長が長いとか、しっかりとウィービングしないと母材は溶けません。

60Aで、電極をプールに近づけ、溶かしたい位置にしっかり移動しないと溶けません。

初心者の方は、アーク長が長くなりがち

80-90Aの高い電流でアーク長を長くすることで溶け具合を調整してませんか?

TIG溶接では、電流を上げる前に電極をとにかく近づける。ってことをしましょう。これ大事。

動画は、ウィービングのコツ。手首を当てた状態でグー、チョキ、って感じで動かします。

TN-Fの2層目を安定させるコツ

目の位置は、この動画の位置ではありません。溶接方向。この動画で言えば左側から見ます。ビード幅が正確に見える位置です。

TN-F 棒ありで裏波

以前、1層目棒なしは書いた。これって、簡単にJIS検定試験に合格するための手法でした。

仕事で使うなら棒ありです。立向き、横向きでも使える手法です。ただし、立向きや横向きは溶接棒を裏側に置いてそこを溶かす。仕事しているプロの方はルート間隔を開けていると思います。「クレータあり」でスイッチ/ボタンを使って溶け具合を調整するのでルート間隔が違っても何とかなる。

ルート間隔/すき間も3mmくらい開けます。ですから溶接棒がいる。ルート間隔が3mm以下なら溶接棒径は1.6(動画はこれです)の方がキーホール(動画に説明あり)が確認しやすい。棒径2.0だと送りが少なくてすむがキーホールが確認しにくい。ルート間隔が4-5mmだと棒径2.0でもキーホールが確認しやすい。

これは、両手の特訓課題をしないとできません。両手の特訓課題ができると大抵のことはできます。

両手の特訓課題では、鉄なので「反復」でした。ステンレスでも「反復」を使う人がいるようです?が、「クレータ有り」のスイッチ/ボタンにも慣れると最後のシールドが必要なステンレスや、強めに「冷やしたい」場合は「反復」より一旦切れる「クレータ有り」の方が有利です。横向き、立向き、上向き、パイプで、鉄の場合は冷やして「だれーん」とならないよう形を止める必要がある。イマイチ?という方、「反復」から「クレータ有り」でやってみてね。よく冷えます。

アルミや銅なんか熱伝導がいいので最初は溶けにくいが全体が温まると溶接スピードを早くする必要があります。そんな時もスイッチ/ボタンが自由に使えると楽ですね。普段からスイッチ/ボタンを使わないとねー。