あえてアンダーカットにする

ステンレスのメルトラン/あぶりだしの話し。

裏波というか裏まで溶けてるかどうかは、プールの前方にアンダーカット、凹みがあるとプール全体が落ち込んでいるので裏が凸になっている。プールの外周が凹むとプールがブルブル震える。

この手法は、TIG/アルゴン溶接での話しです。

ステンレス2-3mm厚程度の板で裏波を出す場合は、ビードを引くときにプールの外周を見るようにする。

単にビードを引く場合は、水玉状でプールを流す。水玉状でないと盛れません

裏波はプールの周りが凹んでからプールを動かす。盛る時は溶接棒を入れて水玉状のままサッサとプールを動かす。

ステンレスの話しです。鉄の話しでは無い。

自動遮光面のディレイ/DELAYって使ってますか?

DELAYって「遅れ」という意味。

ティグ/TIG溶接のスイッチボタンの使い方。の説明です。

自動遮光面は目が疲れる。って方。ティグ/TIGでスイッチボタンをポチポチ押してますよね。

自動遮光面とは、溶接前には手元がはっきり見える透明フィルターですが、アーク光が出ると自動的に遮光されます。 アーク光が消えると再び自動的に透明になります。透明っていうほどではありません。サングラスくらいの暗さで見えます。

モノタロウさんの自動遮光面

で、

ティグ/TIGで「クレータ有り」の時に目が疲れませんか?。「反復」ならアークが切れることがないので自動遮光面が透明になることがないので目が疲れません。

対策はあります。

DELAYを最大にしてクレータ電流から初期電流までのスイッチ操作を0.9秒内(カタログ値。使ってる自動遮光面のDELAY最大時間)にする。

溶接機の初期電流は有効にしないとこれまた目が疲れる。アークが切れてイキナリ本電流も目を疲れさせる。

動画はクレータ電流から初期電流にするまで0.9秒以上(これでも早いつもり)。一瞬明るくなるので目の瞳孔が大きくなったり小さくなったりするでしょう。後半は0.9秒以内ボタンを押すので自動遮光面が明るくなることはない。

DELAYの最大がホンマに0.9秒なんかな?

0.5秒くらいの気持ちで直ぐに、しかも癖になってないといけませんね。

あと

感度/SENSITIVITYも高めの方が明るくなりにくい。

アークが出て遮光面の反応はカタログ値で0.0001とかスピードを強調するがDELAYの方も注目。最大1秒から2秒近い物もある。少なくとも1秒以上はほしいわ。

私が「DELAYがいるな」って初めに思ったのはアルミで純タングステンを使った時です。アークが切れても結構、真っ赤っ赤。目を焼きます。

DELAYってアルミで使うくらいかなって思ってたが「クレータあり」でスイッチボタンの押し方が慣れないうちはDELAYを大き目にする。

このDELAYについて書こうと思ったのは、「自動遮光面は目が疲れる」って聞くことがあって、もしかして、「クレータあり」でのスイッチ/ボタンの使い方に問題があるんでは?と。老婆心でしょうかねー。

ウィービングの話し

溶け込みの話し」その2である。

半自動、被覆アーク溶接のウィービングは、幅広の目的で使うし、振り幅は無限大ではない。両端が赤いうちに進むので下向きは電流が高いから結構、立向き、横向きだと電流を下げるので振り幅は小さくなる。被覆アーク溶接は棒経の3倍まで、炭酸がアーク溶接はシールが効く範囲。一般的なノズルの外形は22mmくらいなので内径は20としたら20の振り幅なら振りが早くてもシールドできる。

TIG溶接のウィービングは、振り幅は無限大。じゃなくて決まりなし。

TIGに関してはアークスタートやビード継ぎなど半自動アーク溶接や被覆アーク溶接のようなバックステップもいらない。

溶け込みの話

半自動溶接、被覆アーク溶接では溶け込みを気にする。なぜなら、材料だけを溶かすことができないから。

このあたり、当たり前すぎて誰も話さないのだろうが、TIG溶接をする溶接工はわかっている。

TIG溶接は、材料だけを溶かすことができる。当たり前すぎ!だが、このこのことは大きい。

棒だけで裏波 パイプ

電流とスピードで裏波が重力で下がらないうちに冷えてます。ボタンを押して調整では無くスピードで調整です。

東京パワーテクノロジーさんの動画です。C-2Pの1層目、パイプの下側。溶接棒が見えます。

以下動画

urlは、https://www.youtube.com/watch?app=desktop&v=iM0K3rAeb4s#t=2m30s

ショートです。海外です。光り方からしてステンレスかと、シールドしている側、アルゴンかヘリウム充満の中にカメラを置いたと推測。ビードの継ぎ方が参考になる。動画は早回し。

C-2H JIS検定試験 横向きティグ/TIG・被覆アーク溶接

なるべく背面に溶接棒を入れて、背面を溶かすようにする。溶けたら即冷やす。これを繰り返す。下向きの時から背面側に棒を入れる癖をつけるといい。

被覆アーク溶接は3.2mm棒LB-47。120-130A。

被覆アークでアンダーカットが出る方はアーク長が長い。横に引く時、プールの上側を注目。アークの勢い、下側開先と平行、左上向きにして引く。これでプールを上に押す、でアンダーカットの凹みを無くすため。

プールは45°斜めな楕円プールにすると平たいビードになる。最終パスだけはほぼ丸いプール。

横向きは「デザイン心」がいる。ビードの高さと形。平たく置くためにプールが45°斜めな楕円にする。溶接棒の角度で調整。先端は溶かしたい下側に置く

最終のストレートビード1本になるように最終前のパスは動画でも長めで盛り具合を調整してます。被覆アークLB-47の5つのパスはそろぞれ時間が違います。最後からの2つ目のパスは最終パスがストレートで引けるように調整(棒を継いだ10秒を除いても90秒かかっている)してます。

TIGの2パスも含めて3パス目70秒、4パス目50秒、5パス目60秒、6パス目90秒、7パス目60秒でした。プールの形は秒数が少ない4、5、7が丸目で、6パスは楕円です。基本、斜め左上の楕円にすることでピードを平たく置くことができます。

材料の位置と目の位置その2

遮光番号大事。材料と目の位置はもっと大事。

材料の位置と目の位置。これがだめなら見えないからね。

遮光番号と材料と目の位置が??だと上達しません。コツを言っても伝わらない。

「何を言ってる?この人は?」って心の声。お互い頭に描く溶接の様子は違うんですね。お互い行き違い。人生、よくあること。

目の位置と材料の位置については以前も書いてるが、今回はJIS検定試験対策

TN-F、下向きの突き合わせです。股を覗く感じ(またをのぞくかんじ。めったに使わない漢字なので)。左右の板を同じように溶かす。とか、アーク長を一定にする。とか、裏に溶着金属が落ちる。とか、こんな様子を観察しながら溶接ができます。

立向き溶接は、上から覗きます。プールの先頭にアークが飛んでる。とか、アークが裏まで抜けてる(下図はSA-2Vですが^^;)。とか、プールの形が三角。とか、左右の開先加工面に均等に溶かしている。とか、こんな様子を観察しながら溶接できます。

SN-2V 全120A3層目仕上げ層

炭酸ガスの立向は、最終ビードが高くなりがち。この写真以上に上から見れば高さが確認できる。高さが確認できるくらい上から目線をやってみて下さい。ビードの中心が高い場合は、ゆっくり振るのでは無く左右で止めて、中間は「サッ」と通過、右で止めてる時に、左の止める位置を確認して、「サッ」です。これでフラットになる。フラットにならないなら「サッ」が遅い。

材料と目の位置が違うと、話が合わない。

遮光番号が適切でないと、話が合わない.

見て無いんだから改善できない。

TN-Fメルトラン(1層目)なら開先いらない!練習簡単

開先が無くても裏波は出ます。SUS304の板厚3mmならビード幅が8mmもあれば裏波が出ます。バックシールドはいる。無いと裏波じゃなくて花が咲きます。

プールの先頭にアンダーカット/凹ミができた状態で流す。プールの横側でも見やすい所で確認。プールがブルブル震えて状態を見る方がわかりやすいかも。対流というか震えてると凹んだ状態になってます。

ルートフェイス/RFは3mm。ルート間隔/RG0.5以下。どんつきでもいい。電流は75A-100A程度。アーク長が長いと穴が空きやすい。80Aくらいなら結構ゆっくり流す。ウィービングでビード表面だけを広くするのはだめ。一点集中でプールの周りが凹んだ状態で流す。アーク長が長いと穴が空くことがあるのでなるべく近づける。

流すポイントは、アンダーカットを確認してから流すこと。凹みがあるとOK。平板でプールの凹みを見る機会って少ないと思うのでゼヒ。学習してね。

さらに、2層目の練習もできる。2層目のプールは、プールの先頭のアンダーカットは禁止。2層目の裏波が出ますから。プールは水玉状で流す。でないと盛れない。

動画、平板で裏波が出ます。

開先無しも裏波が出ます。I形突き合わせです。

だから、開先付きを使ってメルトラン(あぶり出し、水島の方では「あぶりだし」と言うらしいがステンレスだけに使えるドンツキで流して裏を出す)で裏波を出す場合はルート面は0.5mm以上でもいい。つまり、尖って無ければいいです。それと、開先があるとスタート時に大穴が開くことがあるので溶接棒を準備しておく必要があります。

んん。開先無しでメルトランが一番簡単かもしれん。