なぜ電圧を上げるとアンダーカットになるのか?炭酸ガス CO2 半自動 アーク溶接

まず、電(「流ではありません)。この設定は炭酸ガスアーク溶接、CO2溶接、半自動溶接アーク溶接、言い方いろいろだが、この溶接は、ワイヤーが自動的に送球じゃなないね。野球じゃないんだから。送給されるからアーク長を人の手で調整できない。だから半分自動な溶接、半自動溶接です。英語でセミオートってやつ。(セミオートマチック/拳銃のセミオート。検索すると自動車のセミオートの方がヒットするね。話はそれた。)

フラット(平ら)なビードを引きたいなら電圧を高くする。これで「アンダーカット」という言葉がピンときたという方はいないじゃないかな。電圧がを高くするといってもメチャクチャ電圧を上げるのです。そうすると、アンダーカットとなる。ほど良い程度の電圧高めはプールが広いので溶接しやすい。

電圧が高い=アーク長が長い。のでビードは太くなる。

電圧のが高いのでアークは勢い余って広がる。ワイヤー先端だけじゃなくて側面からもアークが出てワイヤ先端が溶けて玉のように見える。電流(ワイヤの溶ける量)に対して電圧が圧倒的に高い、溶接スピードも遅くしないと、ビードが広い割にワイヤの溶け落ちる量が少なくなって母材より凹む所ができる。アンダーカット。板厚が厚い場合の話で。もし、

板厚が2mmくらいなら電圧を上げると穴が空く。広く溶かすので溶けると流れやすい鉄の場合は穴が開く。アルミも溶けると流れやすいのでビードが太いと穴が空きやすい。

黄色い線はアーク光です。電圧の圧が大きいので最短距離はもちろん遠い距離でも飛ぶ。

電圧が高いとアーク長が長くなり、プールの幅が大きいため溶着金属の量が不足する

逆がオーバーラップです。電圧が超、低すぎるとオーバーラップします。黄色い線はアーク光です。電圧の圧が小さいので最短距離しかアークが飛ばない。

電圧が低すぎるとアーク長が短くなり、プールの幅が狭く溶着金属があふれる

電圧が低すぎて、かつ、電流が200A以下だと、ワイヤーが赤いプールに、ガツンガツンと当たって溶接にならないかもしれません。

以前、電流っていう言葉は、あまり言わないな~ 電圧を上げるとビードが太くなる炭酸ガス/CO2/半自動溶接は溶融プールの先頭にアークも書いてます。

「半自動の突き出し長さと電圧の覚え方」はこちら

結論

  • アンダーカットがあるー>電圧を下げる
  • オーバーラップがあるー>電圧を上げる

ってゆう方法もある。ただし、溶接電流と溶接スピードの方が影響大なので微調整程度です。

水平隅肉では、ビードの中心が盛り上がらないように電圧を上げることがあるが、立板がアンダーカットになりやすい。電圧を下げて、溶接スピードの調整でフラットなビードにしてアンダーカットも防ぐとか、そもそも、電流を下げてしまうか??。

溶け込みが心配なら立板を板厚の半分くらいレ形の開先加工にすれば電流を下げてものど厚が確保できるので強度の問題も解決できます。

MA-F 逆歪(角変形)とステンレスフラック入りワイヤー

MはMAGかMIGのMでしょう。

SA-2F(3層盛)のステンレス版。溶接協会の資格一覧の下にある。試験片はステンレスSUS304なので高いから?熱伝導性が悪いので大きくしても意味がない からか幅100mm。SA-2Fは125mm。溶接する長さは同じ200mm。

JIS検定で裏当て金ありは結構簡単です。

注意点は、逆ひずみを5度ほどとること。逆歪がゼロだと角変形で落ちる。ビードが太くなりすぎたら6-7度くらい歪みます。ルートギャップ/RG/ルート間隔が狭いと歪みは少なくなる。TN-FもそいだがステンレスSUS304はネバイので曲げ試験には めっぽう強いので曲げで割れない。だから、 歪み/角変形にご注意。

下図はSolidWorksで試験片の寸法で描いてみた。試験片を仮付け溶接する時の逆歪の例です。裏当て金分で逆歪を取れば187.69となっているので、だいたい7-8度の逆歪みがとれる。溶接歪みがプラス7度になっても0度、ほぼ真っ直ぐ。

SA-2Fだと逆歪は、t3.2の板を両側に置いて仮付けする。逆歪は3度程度。ルートギャップが3mくらいだと溶接の歪みは1-2度なのでマイナス3度程度の逆歪があれば溶接で戻りきらないくらいだから、間違いなく5度以内におさまる。実は、SA-2Fでは、両端のt3.2を6mmにしてぼぼ真っ直ぐに仮付けしても歪みは5度以内なので逆歪みはいらないくらいだ。歪みの要注意はSUS304です。

もう一つ注意点があるとすれば、 ステンレスのフラックス入りワイヤー /DW-308 Φ1.2を使うので フラックスの巻き込み に注意かな。 まあ 電流を200以上240とか 高くしとけば フラックスは 表面まで浮いてくる。

ガスは炭酸ガス、溶接ワイヤDW-308Φ1.2。ルートギャップRGは4-5mm。ルートフェイスRFゼロ。1層目240A32V後進/引きストレート、2層目240A32V後退/引き細かいウィービング。3層目/最終層220A30V後退/引きウィービング。引きなのでビードの高さを見ながらする。開先加工の肩から1mm低くする。最終層は200A29V。突き出し長さが長くなると200A以下になるので突き出し長さ20mm以内。電圧も書いてますが、「一元」の設定でいいです。動画では3層だが4層になる人は、一層が薄いのでスラグの巻き込み、スピードも早い(プールの先頭にアーク)ので溶け込み不良になることもないでしょう。この場合はどの層も20A低くしてもいい。層が増えるのは問題ありません。

最終層のウィービングは両端で止める。中心は早めに通過。開先加工の肩が残ってないとウィービングの止端(シタン/溶接用語です)が見えない。見にくい時は前進/押しでする。

SUS304は急冷しても何も問題はないので粒界腐食を避けるために水冷、濡れタオルで層ごとに冷やす。水につけてもいいぐらいだがJIS検定ではいらない。大抵は一層ごとに掃除を丁寧にして時間をおけば受かる。鉄は急冷禁止です。

200A以上なので溶接面の遮光番号は11番が普通です。60歳超えの私も11番です。若い人は12番がいいかもしれません。JIS規格の簡易閲覧20ページでは、11か12番です。個人差があります、年齢差ですね。例えば、100A以下が10番となってますが私の年齢では150A以下が10番です。炭酸ガスの立向きや横向きではたいて10番を使ってます。50歳のころは確か11番でした。もしかして、JIS規格の遮光番号は40-50歳以下の規格かも。

ソリッドワイヤでも座屈する

mde

ローラーの圧力を上げすぎかな?。弱いと滑るからこんな座屈することはない。

ソリッドワイヤーはローラーの圧力を気にする必要なし。コアード/フラックス入りなら楕円変形させないように圧力を弱くする。

正極性、逆極性

正しい極性とその逆の極性がある。

炭酸ガスアーク溶接/CO2溶接だけが逆極性。だから母材よりワイヤーがよく溶ける。だから溶込み不良になりやすい。溶接としてはダメだから逆極性。

TIG溶接では、トーチがマイナスの正極性。被覆アーク溶接は交流なので60Hzの名古屋以西では1秒間に60回、正極性(溶接棒がマイナス)の時がある。エンジンウェルダーの場合は直流だからずっと正極性。

正極性は母材の方が良く溶ける。溶接にはいいね。だから正極性。

溶込み不良 半自動/炭酸ガス/CO2溶接だけ。狙い位置にご注意

以前、「半自動/炭酸ガス/CO2溶接は溶融プールの先頭にアーク」という題名で書いた。200A以下の短絡移行/ショートアークの場合は母材を狙わなあかんという話。

半自動溶接/炭酸ガスアーク溶接の仮付は、電流を高めにしないと簡単に外れる。

被覆アーク溶接/手棒の場合も高めの電流で仮付をする。しかし、滅多に溶け込み不良はない。

きっと、逆極性と正極性(逆だから溶接としてだめ)のためか。炭酸ガスアーク溶接は、逆極性、被覆アーク溶接は正極性のタイミングがある。交流なので一秒間に60回ある。TIG溶接やエンジンウエルダーの被覆アーク溶接は常に正極性

炭酸ガスアーク溶接が逆極性(こっちもか)とは、ワイヤーがプラス。ここでは、

DCEN (Direct Current Electrode Negative) 直流棒マイナス
DCEP (Direct Current Electrode Positive) 直流棒プラス

溶接として正しい正極性が棒マイナス、DCEN
溶接として間違い?な逆極性が棒プラス、ECEP

炭酸ガスアーク溶接は、棒がプラス。プラスの側がよく溶けるので炭酸ガスアーク溶接は、母材よりワイヤーがよく溶ける。TIGは正極性で母材がよく溶ける。

150A以下で水平隅肉。立板t6mm下板t9mm。あえて立板t6の方を狙って溶接

本来なら溶けにくい方、どっちが溶けないかを予想。ここの例なら、下の板の方が板厚が厚いし、板の中の方なので全周に放熱するので立板より溶けにくい。立っている板は、板厚が薄いし、板の端なので放熱できるのが上方向だけなので溶けやすい。

だから、

下を狙って溶かせば勝手に立て板は溶ける。

が、

溶け込み不良の確認をしたいので、あえて、立板を狙ってしかも溶け込みが浅くなる押し(前進法)でビードを乗せつ。ホンマに乗せるって感じ。アークは常に母材ではなくプールの進行方向の逆を狙う。ん、ややこしいか、ビードの上を狙う。溶けた溶着金属/プールが母材に落ちる乗る感じで溶接です。溶接スピードが超遅い。座布団をひいてるのですね。溶け込み不良の典型やってます。良く言えば丁寧な溶接です。150A程度/短絡移行/ショートアークの電流でゆっくりするとよく溶けると思っている方、素人/普通の人です。日常で火をつけるとなると同じ所に長ーくって。思うのが普通ですもんね。

下図の黒い面は座布団、溶け込み不良。溶けてませんってことで黒色です。一部、破断面は、キラキラ、ステンレスような色、白色。白はチギレタので溶接できてた。

ハンマーで叩く。飴ちゃんが乗った感じだったんかな

見た目ではとっても溶接。炭酸ガスアーク溶接はねー。被覆アーク溶接(手棒)ではこんなことはないわ。交流で半分は正極性のタイミングあるから。

ま、溶けにくい方を狙う。下図だと下の板を狙う。そして、プールの先頭にアークと飛ばす。溶けにくい方を溶かすための電流(下の板を溶かすための電流値)が必要です。

dav

SA-2F最終層でビードが外れる

いろいろ書いたが2層目を低く、真ん中が高くても開先の肩/角は残す。十分に残す。肩の溶け方は、平の母材の溶け方と明らかに違う。だから、その肩の溶け方の特徴が、ウィービングで肩で止まっている時に特徴ある溶け方をしていればOK。光のコントラストとか遮光番号とかいろいろ書いたがこれなら大丈夫だろう。

最終層はアンダーカットにならないように十分に肩を溶かす。

どこ溶かしてんの?

炭酸ガスアーク溶接/半自動。SA-2Fの最終、仕上げビードでどこを溶かしてんのか見えなことがある。
問題は
コントラスト(明暗)か
煙か

手棒(被覆アーク溶接)では問題無し。手棒に比べて電流が高く、フラックスが無いので明るい。となるとコントラストが問題。

太陽の近くに飛行機が飛んでいても見えない。これと同じ。コントラスト(明暗の差)を下げるには昼間に外で溶接するか工場の電灯を増やす。

光の強さは、アーク>プール(溶融池)>>>>母材
温度は、
アーク:5000℃以上
プール:鋼なら1500℃
母材:200℃程度、プールの近くなら1000℃
温度が高いとよく光る。アークが極端によく光る。
母材は光らない。母材はアークの光でライティングすれば見れる。

色は
アーク=白
プール(溶融池)=赤

対策として、ハンマーを置く。柄はアーク光に照らされ母材とのコントラストでわかるかな。正攻法は、2層目で開先の肩を十分に残す。

アーク光で見える範囲は狭い。母材全部が見えることを目指してはいけない。母材全部が見えるのもおかしい。溶接線がわかればいいだけ。

SA-2Fの最終層 全然違う所を溶接

最終層のウィービングは狙う開先を見失うと全然違う所を溶接してしまう。

対策としては、遮光番号を変える。棒か板を開先と平行に置いて開先位置の確認に使う。押し(前進法)にする。頭の位置を変える。トーチの角度を寝かせる。母材を陽のあたる所に移動させる。

溶接面をかぶって見える範囲は少ない。明るい順にアーク光>プール>>>>>母材。アーク光で直径30mm周辺は見えるはず。その遮光番号に調整する。