ティグ/TIG交流と酸化皮膜 アルマイト処理

アルミとマグネシウムは、酸化皮膜の融点が高い。

正月の餅のように表面が固くて、中が柔らかい。溶接では、表面が溶けにくく中は溶けやすい。

アルミの融点は660℃これ中の融点。表面の酸化皮膜の融点は2072℃。中は溶けて、表面が溶けないという餅の状態になる。この状態では溶接できない。

マグネシウムの融点は650℃。表面の酸化皮膜の融点は2852℃。アルミ同様に溶接しにくい。

TIG溶接では交流にするとアルミもマグネシウムも溶接できる。交流は、電子の飛ぶ方向が、電極から母材、母材から電極へと切り替わる。TIG溶接機では最大1秒間に500回くらいは切り替えることができる。

下図。TIG溶接機は母材/アースがプラス+。トーチ/電極はマイナス極。正極性。

下図。炭酸ガスアーク溶接機は、母材/アースがマイナス。トーチがプラス。逆極性。

酸化皮膜を壊すタイミングは、電子から母材に電子が打つかる時(注意。電子はマイナス極から出ます)。らしい。溶接時のプラス、マイナスは、正極性と逆極性がある。TIGの交流なので半分は正極性で半分は逆極性、逆極性の時が酸化皮膜を壊すタイミング。正極性の時は母材が溶けやすい。

よって

アルミとマグネシウムはTIG交流にします。

逆極性のタイミングで電極が溶けやすい状態になるため電極は先を尖らない。教科書的には、アルミとなれば純タングステン電極だがセリタンで大丈夫。電極の先が溶け落ちないように尖らさない方がいいかもしれません。

真鍮(銅Cuと亜鉛Zn)も交流を使うことがあるらしい?。基本、銅は直流でするので合金、真鍮の場合は亜鉛が多いと銅より溶けにくい酸化皮膜ができるのかもしれん?。よって、真鍮は直流か交流か溶接のやりやすさで決める。

アルマイト処理したアルミ。色付きのアルミのこと。

まず、溶接できない。アルマイト処理も酸化皮膜の処理だが分厚すぎる。

アルミの酸化皮膜の厚さは0.01ミクロン(0.01μm×0.001=0.00001mm)。アルマイト処理の酸化皮膜は10ミクロン以上(0.01mm)。桁が違う。アルマイト処理の酸化皮膜はTIG交流でも壊せない。だから溶接できない。

ミクロンはマイクロメートル。1μm(マイクロメートル)=0.001mm(ミリメートル)。千分の1mm。